関係者によると、インテルはアメリカの官僚と拘束力のある合意に達した後、35億ドルの連邦助成金を正式に受け取り、国防省向けの半導体製造を行うことになった。この「セキュア・エンクレーブ」（Secure Enclave）という秘密プロジェクトは、軍事および情報用途の先進チップの生産拠点を確立することを目的としている。報道によると、このプロジェクトにはアリゾナ州の生産施設を含む複数の州が関与している。

インテルは連邦のチップ助成金の最大の受益者であるにもかかわらず、他のチップ製造業者はこれに反発しており、政府も同じ会社に依存することに揺らぎがあり、複数の機関や議会の間で資金争奪の問題が発生しており、インテルが受け取る助成金の総額に影響を及ぼす可能性がある。

関係者によると、この資金は早ければ来週に発表される可能性がある。今年3月、インテルは「チップとサイエンス法」に基づき、85億ドルの助成金と110億ドルのローンを取得した。

インテル、アメリカ商務省、国防省はコメントを拒否している。ホワイトハウスはすぐにコメントを返さなかった。

このニュースが市場に伝わると、インテルの株価は当日取引終了後に1%未満上昇した。取引終了時点で、インテルの株価は今年61%下落し、19.66ドルで取引を終えた。

「セキュア・エンクレーブ」プロジェクトは、インテルが最近困難に直面しているにもかかわらず、アメリカ政府が同社に対して国防省の計画を実行できると信頼していることを示している。先月、インテルは悪化した財務報告と収益予想を発表し、株価が急落し、同社の収益回復に対する市場の信頼を打撃した。

インテルは現在、その製造目標を再評価しているとされている。最終決定はまだされていないが、関係者によれば、インテルはアリゾナ州とオハイオ州の旗艦工場の生産進捗に影響を与えずに、アメリカ以外のプロジェクトを延期または中止する可能性が高いとされている。

さらに、このプロジェクトはバイデン政権の選択の限界を反映している。国防省の官僚はアメリカ企業から先端半導体を調達することを固守しており、インテルは先進プロセッサーを製造する唯一のアメリカ企業であり、TSMCやサムスン電子、その他の製造業者は「チップ法」の支援を受けてアメリカ国内に工場を建設している。

チップ製造業者にとって、国防省は対応が難しい顧客である。アメリカ国立科学アカデミー、工学アカデミー、医療アカデミーの最新の報告書によれば、いわゆる「信頼できる代工工場」計画（旧世代チップに特化した長期計画）に参加する企業は、国防省の要求を満たすことが難しく、これらの注文から十分な投資回収を得ることができないことが多いとされている。

以前、一部の官僚は外国製造業者がアメリカ国内で製造するチップの調達について議論したが、より広範な調達基準に焦点を当て、「セキュア・エンクレーブ」計画には関係していなかった。インテルが国防省のためにどのモデルのチップを製造するかは現在のところ不明である。

インテルは設計と製造の両方の事業を運営しているが、現在でも一部の最先端プロセッサーをTSMCに委託している。一方で、インテルはNVIDIAやAMDなどの潜在的な顧客に対して製品能力の信頼を説得する努力を続けている。アメリカ商務長官のジーナ・ライモンドは、これらの2社にインテルのオハイオ州工場での生産を検討するよう促したが、現時点ではどちらの会社もそのような計画を持っていない。

また、インテルはマイクロソフトなどの他の企業もインテルを生産ラインとして採用する可能性を検討していると主張しているが、まだ大量の注文や顕著な収益をもたらしていない。

現在、インテルは「セキュア・エンクレーブ」計画の条件について交渉を行っており、資金はアリゾナ州、オハイオ州、ニューメキシコ州、オレゴン州の生産施設に使われる可能性がある。他のチップ助成金受領者と同様に、インテルはまだ資金を受け取っておらず、助成金の支給は初期段階にある。

今年初め、アメリカのチップ助成金プログラムは責任問題で論争があり、資金処理の手続きが標準の申請プロセスに含まれていなかった。

以前、国防省は「セキュア・エンクレーブ」計画に対して大部分の資金を提供する予定だったが、今年2月に25億ドルの約束を取り消した。その後、議会はこの計画を商務省に全権を委譲し、商務省は本来残りの10億ドルを担当することになった。この計画の資金は予備資金に組み込まれていたが、最終的に計画と商業製造のインセンティブを完全に分離する決定がなされた。

この論争は他の企業にも波及した。資金争奪に対応するため、商務省は商業研究開発プログラムをキャンセルせざるを得ず、官僚は材料会社が提出した40億ドルのシリコンバレープロジェクトの資金申請を拒否した。また、「チップ法」に追加の30億ドルの助成金を追加する申請も議会で阻止された。