FRBは9月18日、政策金利区間を4.75%から5.00%に50ベーシスポイント引き下げたと発表した。選挙日まで7週間しか残っていない状況で、FRBは大幅な利下げを発表したが、両候補はどうコメントしているのだろうか。

トランプは削減の動機を疑う

共和党のトランプ候補の今回の利下げに対する見方は否定的だ。

「彼らが政治をいじっているだけではないなら、これだけ削減したことは経済状況が非常に悪いことを意味すると思う」とトランプ氏は述べた。「経済状況が非常に悪いか、政治をいじっているかのどちらかだが、今回の削減幅は大きい」。

トランプ氏の見方はFRBの表現とは反対だ。FRBの9月利率決議後の記者会見で、パウエルFRB議長は、米国経済は全体的に力強く、我々の目標に向けて大きな進展を遂げていると強調した。

パウエル長官によると、今年上半期の米GDPの年率成長率は2.2%だった。既存のデータでは、第3四半期の成長率は上半期とほぼ同じになるという。

トランプ氏の支持者も、今回の利下げに政治的動機が加わったとみている。ヘッジファンドの億万長者ジョン・ポールソン（John Paulson）氏は、共和党大統領候補トランプ氏の主要な献金者で、声明の中で「伝統的にFRBは選挙直前に金利を下げることはなく、今世紀唯一の金利低下は2008年の金融危機の後であり、その時に重大な行動をとる必要があった。私たちは今日、このような状況に遭遇していない」と述べた。

さらに、「この決定は、FRBがこのタイミングでハリス副大統領の選挙を後押ししようとしているのではないかと疑わざるを得ない。FRBは政治を凌駕していると主張しているが、今日の行動のタイミングはその説に疑問を抱かせる」と指摘した。

注目すべきは、パウエル氏はトランプ氏が大統領を務めていた時にFRB議長に抜擢されたが、その後はしばしば意見の食い違いがあったことだ。

ここ数週間、トランプ氏はまた、大統領はFRBの金利処理と金融政策に対してより多くの発言権を持つべきだと直言した。これは、トランプ氏がFRBが長年維持してきた独立性を覆すことを望んでいることを意味する。彼はまた、もし彼が今年総選挙に勝ったら、パウエル氏をFRB議長に任命しないと述べた。

ハリスは利下げは良いことだと考えている

トランプ氏の「懐疑論」に反し、民主党のハリス候補は利下げを歓迎した。

ハリス氏は声明で、この決定は「高い物価ショックを受けた米国人にとって良いニュースだ」と述べた。

ハリス氏は、「多くの中産層やサラリーマン家庭にとって、物価がまだ高すぎることを知っている。大統領として、私の第一の任務は医療保健、住宅、食品雑貨などの日常的な需要のコストを下げることだ」と付け加えた。

ハリス氏はトランプ氏を非難した。彼女は、トランプ氏の大統領就任とは全く逆だと述べた。億万長者や大手企業への減税を提案したが、ガソリン、食料品、衣料品などの家庭依存商品にトランプ税を課すことで、家庭の年間支出を4000ドル近く増やす計画だ。

しかし、ハリス氏のこの発言も、バイデン氏の大統領在任中、インフレが米国の家庭に与えた痛手を露呈した。

現大統領として、バイデン氏も声明でハリス氏と同様の見解を示した。FRBの4年ぶりの利下げはインフレに対抗する「重要な時」だと考えている。「インフレと金利は低下しているが、経済は依然として強い」とバイデン氏は述べた。「批判者はそれは起こり得ないと言っているが、私たちの政策はコストを下げ、雇用を創出している」。